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Windows10仮想マシンをWinsows11仮想マシンにアップグレード (2)

はじめに

前回に続き「Windows10仮想マシンをWinsows11仮想マシンにアップグレード」というテーマの記事となります。
今回は当社の検証環境のご紹介と検証の概要と大まかな作業の流れについてを書きます。

(1)検証環境について

  • 当社では下記のProxmoxVEによる仮想環境基盤で検証を行いました。
  • 検証の際にはWindowsの仮想化に必要な各種ライセンスをMicrosoft代理店から取得した状態で行いました。

注意

  • 検証される際には各種のライセンス規定に抵触しない様に検証環境とそのライセンス状況をご確認ください。
  • 検証前にはすべてバックアップを取り復旧できる事を確認してから行う事をお勧めします。すべての作業は慎重に行い作業の途中にも適宜バックアップを行う事をお勧めします。

仮想環境基盤

ProxmoxVE 8.3.0

root@pve01:~# pveversion
pve-manager/8.3.0/c1689ccb1065a83b (running kernel: 6.8.12-4-pve)

・Window10仮想マシンのハードウェア構成

基本構成としては4core、10GBメモリ、100GBストレージのWindows10です。

解説

100GBストレージの中にはWindows10をMBRパーティションでインストールしてあります。またBIOSがSeaBIOSとなっておりLegacy BIOS bootです。

この構成の場合はTPMデバイス認識無しMBRパーティション中のWindows10Legacyブートされます。

Windows11の要件として不足している点はTPMと、UEFIブートとSecureBootが満たしていません。
TPMは仮想TPMデバイスを追加すれば要件を満たせますが、UEFIブートとSecureBootの要件を満たすためにはGPTパーティションに移行する必要があります。

(2)検証の概要

当社の取ったアップグレード方法は既存ディスクをMBR2GPT変換するのではなく新たな仮想ディスクを用意して適切なGPTパーティションと各パーティションを作成し整えた後に、既存仮想ディスクのMBRパーティションにあるWindowsプライマリパーティションを、新ディスクにクローンするという方法を取りました。

MBR2GPT変換を用いてもWindows11のシステム要件を満たすことは可能だったのですが採用しませんでした。
理由はMBR2GPT変換後にパーティション内の並びやパーティションサイズがバラバラになってしまったからです。(Microsoftが例示しているようなきれいな並びになりませんでした。)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/manufacture/desktop/configure-uefigpt-based-hard-drive-partitions?view=windows-11#partition-layout

MBR2GPTを用いる方法はパーティションの並びと言う見た目の問題のみならず実際にMBR2GPT変換を行った後にパーティションが原因と思われる不具合があったので、今後のメンテナンス性も考慮して見送りました。

一方、当社で検証した新たなディスクにクローンする方法は移行後にディスク内のパーティションが散らばったりせずに理想的なパーティションの並びが実現できました。そのため、今回は新たなディスクにクローンする方法にてご紹介します。

作業の流れ

おおまかな作業手順は下記の通りです。

手順1:仮想マシンに Windowsの移行先の新規ターゲットディスク追加、パーティション作成
手順2: ソースディスク(既存のディスク)のプライマリパーティションのNTFS整合性チェック
手順3: 仮想マシンにTPMデバイスの追加
手順4: 仮想マシンにEFIディスクの追加
手順5: gpartedによる既存ディスクのプライマリパーティションをターゲットディスクにクローン
手順6: ターゲットディスクのプライマリパーティションのブート構成をEFIシステムパーティションに作成
手順7: ターゲットディスクからWindows10を起動しディスクの管理からプライマリ領域の拡張を実行
手順8: Windows11のISOファイルからアップグレード

工程数があり手間がかかる作業もありますので、最初手作業でやると結構大変です。
次回以降の記事では一つ一つの作業を解説していきます。ぜひ次回以降もご覧下さい。

最後に

当社製のハードウェアをご購入の際にWindows10、Windows11を仮想マシンとして動作可能なProxmoxVEのインストールサービスを承っております。

VMwareESXiからもWindows10の移行を簡単に行えます。
https://blog.systemworks.co.jp/?p=2080

ProxmoxVEのHCIの環境構築サービスも始めました。
是非お気軽にお問い合わせください。
https://www.systemworks.co.jp/hci.php

Windows10仮想マシンをWinsows11仮想マシンにアップグレード (1)

はじめに

先日、ProxmoxVE上で稼働していた仮想マシンをWindows10からWindows11にアップグレードしました。
その作業の中ではWindows11へのアップグレードの知見が色々と得られました。
せっかくなので本ブログにてこれから複数回にわたり「Windows10仮想マシンをWinsows11仮想マシンにアップグレード」というテーマで得られた知見を共有したいと思います。

第一回目はMicrosoft Windowsの事情と当社のアップデートにまつわる事情をご紹介します。

迫るWindows10のサポート期限

Microsoft Windows10のサポートが2025年10月で終了するとアナウンスされています。(2025年4月現在)

https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/end-of-support

仮想マシンのWindows10をお使いの方の中には、サポートが終了してしまうのでそろそろWindows11へ移行したいと思いつつ、まだWindows11への移行に踏み切れないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。当社もなかなかWindows11への移行の動き出しができませんでした。

アップデートを取り巻く様々な事情

Windows11への移行に踏み切れなかったのは下記の事情のためでした。

事情1: 仮想マシンがWindows11のシステム要件を満たしていない。

仮想マシンとWindowsとUEFI起動、SecureBoo)、TPMがWindows11のシステム要件を満たしておらず、また満たすための具体的な対応方法が不透明でした。
要件を満たす対応をする必要がありましたが、その中でも特にUEFI起動、SecureBootの要件に対応するためのGPTパーティションのディスクへの移行方法が不透明でした。(既存WIndows10はMBRパーティションでインストールされてました。)

事情2: ユーザによってはCドライブがいっぱい。

そもそものアップグレード前にCドライブのストレージ拡張作業を行い空き容量を確保する前段階の作業の必要がありました。

事情3: アプリ等の環境はそのまま引き継ぎたいというユーザー要望

なるべく今の環境を引き継ぎたいというユーザーからの要望。たしかに複雑に構築されている環境は新たに構築し直すの大変ですね。

上に挙げたもの以外にもさまざまな事情は有りましたが、主な事情はこれらの通りでした。

これらの事情を考慮しながらWindows11にアップグレードするために検証を重ねた結果、当社環境にて安定してアップグレードできる方法が確立できました。

次回以降のブログ記事では具体的な方法をお伝えしていきます。当社と同様の事情をお持ちの方の参考になれば幸いです。


最後に

当社製のハードウェアをご購入の際にWindows10、Windows11を仮想マシンとして動作可能なProxmoxVEのインストールサービスを承っております。

ProxmoxVEではVMwareESXiからもWindows10の移行を簡単に行う事が可能です。
https://blog.systemworks.co.jp/?p=2080

ProxmoxVEのHCIの環境構築サービスも始めました。
是非お気軽にお問い合わせください。
https://www.systemworks.co.jp/hci.php